『海を飛ぶ夢』 (2004/スペイン=仏)

★★★★★★★

監督:アレハンドロ・アメナーバル
出演:ハビエル・バルデム/ベレン・ルエダ/ロラ・ドゥエニャス/

マベル・リベラ/セルソ・ブガーリョ 他

【STORY】
海の事故で、首から下が不随となったラモン・サンペドロは、26年間をベッドの上で過ごし、その年、自ら命を絶つ決断をする。人権支援団体で働くジェネは、ラモンの死を合法にするため、弁護士のフリアの協力を仰ぐ。法廷へ出る準備を進め、ラモンの話を聞くうちに、フリアは強く彼に惹かれていった。ある日フリアは、ラモンの家で発作に倒れる。不治の病に冒されたフリアは、やがて自らも死を望み、ラモンの死を手伝う約束をする。

<感想>

人の“死”、その中でも“尊厳死”をテーマにした作品。

感動作っぽい内容で紹介されていたが、感動するといったものではなかった。

また、この作品の監督があの『アザーズ』を作った監督と同じだというのにもびっくりさせられたのだが・・・。

さて、内容的にすごく難しい“尊厳死”というテーマを扱った作品で、色々考えさせられるものである。

単に“死”を表現しているのではなく、逆の“生”をも考えさせられるものでもある。

この作品の見所と思うところは、やはりそれぞれの人の会話だ。

“生”と“死”の各々の気持ち、それが一言一言ずしっ~と響いてくるわけで、どれも間違ったことは言っておらず、そういう風にも思えるし、そうとも思えるよね。と、いった感じ。

ただ、結論から言うと、この映画の中での“死”はのぼう的には“尊厳死”ではないと思った。

もちろん彼が言っていることも、理解できるんだけど、彼の最後の迎え方はちょっと違うんじゃ?って思った。

どっちかというと、ちょっとうっとおし目の、工場で働くロサという彼女がコロコロっと態度を変え、彼の命を絶つ手助けをしてくれるようになる。そして、死を迎えるわけだけど。。。

彼は26年間、とてもすばらしい家族の下、看病され生きてきた。

その何もかもを投げ打って、自分の“死”という選択を託すほどの人物では彼女は無いのでは・・・

とは言うものの、彼にとっては“死”へ向かうことが一番幸せになるということ。

だから彼にとってはあれはあれで良かったのか?考え出しても結論は出ないと思う。。。

この映画は、正解の解答なんて無いけど、色々考えるきっかけにはなる映画だと思う。

人の何を尊重するのか?それをすべて認めても良いのか?

自分のために生きること。人のためにも生きること。

う~ん、感想は難しい映画だ。。。でもとても観ていい映画である。