『オープン・ウォーター』 (2004/米)

★★★★★★★

監督:クリス・ケンティス
出演:ブランチャード・ライアン/ダニエル・トラヴィス/ソウル・スタイン/

エステル・ラウ 他

【STORY】
仕事熱心なダニエルとスーザンは、ようやくまとまった休暇を取り、カリブ海に向かった。だが、せっかくのバカンスにも関わらず、夫妻は仕事を忘れることができない。互いへの愛情が冷めたわけではなかったが、仕事に追われるうちに距離ができ、今の2人はそれを埋めるきっかけを失っていた。そんななか、夫妻はダイビングを満喫する。だが、スタッフの単純ミスで、夫妻が海面に上がってきた時、そこには2人を乗せてきたボートの姿がなく…。

<感想>

いや~見事に低予算の映画を作り、見事に恐怖させてくれました!!

これは間違ってもサメに襲われるという恐怖ではないということをまずお断りしておこうと思います。

そっち方面の恐怖を味わおうと、この作品を観たならばまったく面白いとは思えないでしょう!

これはシチュエーション的な恐怖を存分に味わうことが出来る、見事な作品だと思います。

まず、絶対こんなこと起らないだろうということが言い切れないがゆえに恐怖します。

のぼうはダイビングはしないので、体験的なことは分かりませんが、きっと絶望的な状況です。

今の今までダイビングを楽しみ、さてそろそろ戻ろうかと海上へあがると船がない!!

え?何でや?浮上する場所間違ったか?ときょろきょろするでしょう。

しかし、何もない!!え?どないしょ!?という状況に陥ってしまったわけです、この作品の2人。

それがまた偶然による不幸が重なったものだけに、何ともいえない同情心も沸いてきます。

同じヨットに乗った一人が大事な道具を忘れてきた。これではダイビングできない。

一人ヨットに残ります。そこへうまくダイビングできないというカップルが帰ってきて、上がります。

それならと忘れ物をした人とカップルのうちの一人がダイビングに向かうのですが、スタッフはこの二人の数を数え間違えたために、ダニエルたちに悲劇が起ってしまったのです。

普通なら考えられない単純なミスですが、この微妙なリアリティが実に恐怖するわけです。

その後、彼らは何もない海の真っ只中で、何とか助かろうと必死に頑張るのですが、その際、お互いのことを思いながらも、今の状況を考えると罵倒するような言葉も出たり、絶望の中の状況をうまく表現できているなぁ~とも思える作品で、いっそう恐怖します。

ラスト、何とも後味の悪い感覚になり、いや~面白かったね~という映画ではないけれど、海というものがとてつもなく恐ろしくどうすることも出来ない場所だと、感じてしまうほど、この作品を観ることによって恐怖することになるでしょう。