『12人の優しい日本人』 (1991/日)

★★★★★★★★★

監督:中原俊
出演:塩見三省/豊川悦司/上田耕一 他

【STORY】
ある事件の陪審員として一室に集まった12人。彼ら全員の意見が一致しなければ判決を下すことができない。そこで、まず多数決によって有罪無罪を決めることにするが、わずか1分で全員一致の無罪に決定してしまう。全然やる気のない陪審員たちの中で、1人の男が『みなさん、本当にこれでいいんでしょうか』と言い出したことから喧々諤々の議論が始まった。果たして被告は有罪か無罪か?判決を提出する時間は刻々と近づいて来るが…。

<感想>

今まで存在こそ知っていたものの、あの名作『12人の怒れる男』のパロディ映画ということもあって、とんでもなくくだらない作品になっていたら嫌だなぁという気持ちもあり、なかなか観れないでいた。

 

しかし、来年から裁判員制度も始まるし、いっぺんどんなものか観てみようかという感じで観たわけだが、これがどっこい本家に勝るとも劣らない素晴らしい出来だったので、ある意味驚いた作品でした。

まさかここまで良い作品だったとは思っていなかったので、今まで観なかったことを後悔したりもして…。

舞台となる場所なんかも忠実に再現されているし、物語の進み具合も本家に肉薄!

しかし、単なるコピーをしただけの作品ではなく、日本人版陪審員があったらどうなるか?

日本人の特質なんかもちゃんと表現されていたりもするし、ホンマ良かったですね。

映画ということもあり、日本人の中で代表されるような特徴を持った面々が集まり、話合う。

有罪か無罪か!?

妙にウルサイ奴がいたり、仕切りたい奴がいたり、仕事のことばかり気にする奴がいたり、理論派がいたり、内気な感じの奴がいたり…。

まさに個性豊かな面々が一つの事件について、全員一致に向かって意見を出し合いう。

その中で若干の笑いも交えながら、本家でもなかった二転三転する展開で見事に解決に向かうのである。

トヨエツが場を仕切りだしてからはテンポも良くなり、うんうんそうだそうだと納得させられつつ、ラストはあっ決まったなという終わり方で気持ち良く終われる。

そして観終えた後は本家を観たくなる。

そして本家を観たらまたこっちも観たくなるんだろうなぁという気持ちにさせられる見事な作品でした。